女の嫉妬はなぜこんなにややこしいの?――『あさきゆめみし』から解く、六条御息所の自己肯定の弱さからくる嫉妬に燃え尽きてしまった恋物語

女の嫉妬はなぜこんなにややこしいの?――『あさきゆめみし』から解く、六条御息所の自己肯定の弱さからくる嫉妬に燃え尽きてしまった恋物語

80年代の月刊誌『mimi』にてあざやかに展開された『あさきゆめみし』。六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)は年上の才女でしたね。教養深く筆も達筆で和歌もうまい。そんな気高い完璧な女性がなぜ年下の源氏の君に翻弄され挙句、自滅してしまったのでしょうか。そのわけを探っていきたいと思います。


あさきゆめみしとは…

『源氏物語』54帖がおおむね忠実に描かれています。
作者の大和和紀さんが平安朝の生活様式などを詳しく調べ、独自に解釈しその上で緻密に漫画化を実現しており、古典の中でも特にベストセラーな『源氏物語』の世界を漫画という形で簡易に視覚的描写を助け、古典への興味を持たせた功績は今なお大きいです。
大手予備校の書棚に置かれるなど(!)特に受験生必携の書ともなっています。
また瀬戸内寂聴さんも高くこの物語を評価しております。

あさきゆめみし あらすじ

――いつの御時のことでしたでしょう。
帝(みかど)の寵愛(ちょうあい)を一身に受けた美しい人がおりました。
その人は愛だけに生き、その生命は絶ったのも、また愛であったと……。
千年の時を超えて鮮やかによみがえる、古典の最高峰「源氏物語」を、大和和紀の華麗なタッチで体現した物語です。

あさきゆめみし 登場人物

光源氏

幼い頃に、母・桐壺更衣と死別。亡き母の面影を追い求め、華やかな女性遍歴を重ねていく。
美男。教養が高いので、言葉のおしゃれあり、ウィットにも富んでいる。
また楽にも秀で、書にも秀でてるし、弓にも秀でている。
「一体おまえは何者なんだ!?」っていうくらいのあり得ない美男(イケメン)キャラクターのため、数多の女を魅了し、進んで取って食う男でもある。
現実にいたら女にとってゲスな男だと思う。うん。

六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)

源氏物語最凶のヤンデレともいうべき存在。
才色兼備でプライドの高い上流階級の女性だが、7歳年下の光源氏の餌食に。
光源氏にとっては遊び相手程度の感覚だったが、彼女自身は完全に光源氏の虜となってしまう。
やがて嫉妬心が高まると無意識に生霊化し相手を呪い殺す力が発現してしまうんです。
まず自分より身分が低いにも関わらず光源氏と逢瀬を重ねる夕顔を無意識下に呪い殺してしまう。
その数年後には、色々あってプライドをズタズタにされた相手の葵の上をも無意識下に呪い殺してしまうんですよね……。
この一件の後、出家しますが、
娘の後見を光源氏に頼むと、「絶対に手出すなよ(意訳)」と遺言を遺し往生した。
……けども死後も怨霊と化しヒロイン達を苦しめる。

なんとも可哀そうな源氏の被害者となってしまったお方。( ノД`)

とりあえず、手を出さない方がいい男も世の中にいるわけで

先の春宮妃。
教養高く優雅な貴婦人だが、
源氏への愛と恨みから怨霊となって女君たちに祟るとなってしまったキャラクター。
先の春宮妃からして、彼女は男の知らぬ初心な女性ではないことは確か。
時代が時代なだけあって、この時代は通い婚でしたので、
女性はどうしても受け身にならざるを得ない。
(男の人が女の家の元に通ってこそ、成り立つ恋愛がメインだった)
なのでやっぱり男を知る機会がやっぱり少なかったのではないのでしょうか。
また、女性は操を立てるのが当然だったこの時代、
いろいろな男との関係を積むのも厳しかった時期。
「それは手を出したらあかん毒キノコや!」
というセンサーを働くだけの男性経験がなかっただけにこんな苦しい思いをせねばならなかったのかもしれません。

嫉妬にかられたがイメージ先行して勘違いを受けやすいキャラクター

ほんとは源氏の君に甘えてしだれかかり甘えたかったのでしょう。
でもそれはプライドがどうしても許せなかったのかもしれません。
甘えるということは弱いほんとうの自分をさらけ出すことでもありますから…。

美しく誇り高く、本当は傷つきやすいひとなのです。
なぜなら“葵祭”での、彼女のプライドがズタズタに引き裂かれた後、
魂が体から抜け出し、取れない芥子の匂いに、
自分が生霊になったことを知り、
彼女は自分自身に恐怖し、誰も殺したくないと強く願うシーンもあります。
ただ、”表の感情” と ”腹の底の本音” はかみ合わず、
死んだ後も「源氏」への愛が深すぎるあまり「紫の上(事実上の正妻)」や「女三宮(妻)」に取りついて苦しめています。
「源氏」本人が「彼女はめちゃくちゃイイ女だった」
といっているように、薄っぺらい「源氏」の態度さえなければ最高の女性になっていたかもしれませんね…。
それか。
愛されるのに値する「格上の女である」と胸を誇ればこそ、
他の女に現を抜かす「源氏は馬鹿者」だと鼻で笑えるだけの器量があればこそ、
強い自己肯定があれば六条御息所は最高の女だったかもしれません。
でもやっぱり、いい女で完璧すぎる六条御息所
「こんな自分なんだけどほんとは自信ないの……」
と自分をさらけ出し、可愛く甘える技術があれば……と思うと泣けてきます。(´;ω;`)ウゥゥ

でも割と人気な六条御息所

そんな六条御息を題材にして文学作品が生まれるのもありました。

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